2021/02/04 19:01

菊川そうめん50年 寒期の極細麺作りピーク 

    竹箸で延ばし、極細そうめんを仕上げる加島薫さん(左)と豊美さん=31日、下関市菊川町下大野竹箸で延ばし、極細そうめんを仕上げる加島薫さん(左)と豊美さん=31日、下関市菊川町下大野

     「菊川の糸」のブランド名で知られる下関市菊川町の手延べそうめんは製造開始から今年で50年目を迎えた。昔と変わらない製法で、今季も寒い時期に限られる極細そうめん作りが大詰めに入っている。

     同町下大野の加島製麺では、加島薫さん(48)と豊美さん(46)夫妻が極細麺を作る。帯状の生地を丁寧に延ばし、最後は重なった麺を竹箸で空気を入れるように分けて直径1ミリ以下に仕上げる。乾燥室で4時間ほど乾かして裁断。蔵で約1年半寝かせてからJA山口県を通して出荷し、来夏に県内の道の駅やスーパー、百貨店などに並ぶという。

     極細そうめんは、暖かくなると製造時に麺がくっついて切れやすくなるため、日中でも気温が10度前後にとどまる寒の入りから立春にかけて作る。薫さんは「今年はここ数年で一番寒く、生地に弾力が出ているので、歯応えのある良いそうめんになると思う。1年半後が楽しみ」と話した。

     菊川町手延素麺(てのべそうめん)組合によると、同町は県内最大の手延べそうめんの産地で年間約30トンを生産している。もともと農家で盛んだった米袋かますの製造に代わる形で、1972年2月に組合が発足してそうめん作りが始まった。きれいな水と空気、寒暖差のある盆地の気候を生かして作る麺はこしが強いのが特長。当初9軒が製造していたが、高齢化や担い手不足で近年は4軒になっている。

     組合は市などと連携し、製造開始50年の記念イベントを6月に同町上岡枝の道の駅きくがわで開く予定。新型コロナウイルス感染症対策を講じ、グループ単位で楽しめるそうめん流しなどを企画している。

     組合長を務める薫さんは「昔ながらの製法で手を抜かずに作る菊川の手延べそうめんのおいしさを多くの人に伝えたい。魅力のある産業にして後継者の育成にもつなげたい」と力を込める。